Atsushi Hatae(アツシハタエ)代官山本店
フランス料理の巨匠、アラン・デュ カス氏の手引きにより渡仏、超一流店に勤めるという誰もが羨むような輝かしいキャリアを持ちながら「ほんとうは単に旅行に行くつもりだったのですけれど(笑)。 一流店に勤めたからといって成功できるとは限らないですから」という。
幼少期から母親の手作りのお菓子が生活にいつもあり、中学生のころにはこの道に進むことを考えていた。調理師専門学校生のときから、のちにミシュランガイドで3つ星を得るレストランでアルバイトに就き、正社員同様の仕事を任された。
「調理師学校へ行きましたが、今思えばあまり意味が無かったかな。学校で学ぶやり方と現場のやり方はまるで違う。知識は学校で得られるけど、本当の仕事として捉えたときには現場のやり方が大事です。現場はほんとうに厳しかった」。
現場のたたき上げで磨かれた技術と感性は、すでに至上のもののようだが、進化を止めることはない。「だいたいのケーキ屋さんは店ごとに、濃いなら濃いものばかりをつくるんですよね。でも僕は、濃いものも軽いものもつくるし、同じ素材を使ってもその時々で違います。それに、今並んでいるケーキの中には、これまでシェフをやってきた中で6バージョンめのものもあります。これで完璧、これ以上変えることはないやとは思いません。まだできることがあるん じゃないかなと常に考えていますね」。
そんな波多江さんがスイーツをつくるときにいちばん大事にしていることは『香り』だという。使うのはリキュールなのかフルーツなのか。フルーツなら加工の仕方や皮の使い方を工夫する。
「人間がものを食べるときに最初に感じるのは香りだと思うんです。そして食感がいくらよくても、香りがよくないと印象に残らないと考えています」。進化し続ける『Atsushi Hatae』のスイーツを食するときは、ぜひその香りを楽しんでみてはいかがだろう。
こだわりは店舗づくりにもあらわれる。 ハイジュエリーブランド店のような重厚な佇まいを醸し出す黒い鉄柵はオーダーメイド品。 Atsushi Hataeのイニシャルである”AH”があしらわれている
■Atsusi Hatae
〒150-0033
東京都渋谷区猿楽町17-17 MH代官山 1F
TEL:03-6455-2026
2019 Booyah Vol.5より