「運命の出会い」があるとしたら、VTとの出会いはそんな感じかもしれません。大人気車であったにも関わらず、あまり美しい車両が現存していないので試乗の機会に恵まれませんでした。
これはワンオーナーの完全整備車で外装にも一切の色褪せもなく、まるで現行車のような輝きでした。すでに跨った瞬間から「ピッタリ」のシンデレラサイズ。
レーサーレプリカ全盛期に、たくさんのライダー達を虜にしたYAMAHAのRZ250の対抗馬として出陣したVT250FC。
「最速」を目標に創られたVT250FCに搭載されたのは、250ccクラスには"初"とされる技術の数々。「打倒2スト!」に用意されたエンジンは、新設計の水冷4ストロークDOHC4バルブ、90度のV型2気筒。90度のVツインエンジンはこの後も様々なモデルに継承され、長い歴史を刻むこととなります。
当時最新鋭だったクラス初のV型2気筒は、今でも全くそのパフォーマンスに陰りはありません。現行の並列2気筒のスポーツマシンよりも「戦闘的」フィーリングにすっかり嵌ってしまいました。