#アスリートを守り勝利に導くマウスピース

人間にとって日々を健康に過ごすためには欠かせない「歯」。
レーサーや格闘家といったアスリートは、競技中の事故や衝撃により歯を失うリスクにさらされる。
彼らの歯をマウスガードで守り、パフォーマンスを引き出すことで勝利に導く歯科医が居た。

たなか歯科診療室 田中 英一さん

様々なスポーツでマウスピース(スポーツマウスピース、マウスガードとも呼ばれます)を装着している選手をみたことがあるかと思います。「あれはパワーが出るとか速く走れるとか、そういう目的ではないんです。たとえば格闘技でパンチする瞬間は口は開いていて、歯は噛みしめていない。逆に噛みしめると筋肉が硬くなってパンチが伸びない。あくまで衝撃から歯や舌を守るのがマウスピースの役割です」と語るのは、数々の格闘家やプロライダー、プロドライバーのマウスピースを製作している田中英一先生。「そのスポーツを理解しないと求められる性能はわからない」という考えから、足繁く観戦に通って選手の動きを観察、聞き取りをしてきました。「打撃ありの格闘技向けには強度を持たせるために最低限の厚さを決めている」というように、競技によってマウスピースに求められる性能は違います。例えば2輪のモトクロスでは転倒時の衝撃だけでなく、ジャンプの着地時に歯が折れたり舌を噛むことを防止する必要があります。また、4輪では無線でピットと交信するために喋りやすくなければなりません。さらに、ヘルメットを装着しても違和感がないようにも配慮するそうです。
合わないマウスピースを使っていると気持ち悪くて集中力が途切れたり、競技中に外れてしまうこともあるそう。田中先生が製作したものは違和感がなく、装着しているのを忘れて試合後にもずっと着けたままだった選手もいたとか。
「プロ選手が来るとこだわりが強いので製作は大変ですが、マウスピースが原因で負けてしまったら責任を感じるから一生懸命作ります。でも、私はオタクなんで、選手がお礼にとヘルメットとかをくれるのが本当は一番嬉しいです(笑)」。
アスリートの歯をマウスピースで守り、安心や安全を確保することでパフォーマンスを引き出す。田中先生も選手たちといっしょに闘っているのですね。

左はモトクロスの成田売選手、右はモタードの森田一輝選手から贈られたヘルメット
左上から時計回りに総合格闘家伊藤盛一郎選手、キックボクサー佐々木大蔵選手、ドラッグレーサー葛木良選手選手のマウスピース。厚みや硬きが違います。
田中先生は型どりから造形、調整まで全てを自分ひとりで行うことでマウスピースの精度を上げていきます。来室後は選手たちと食事に行くこともあるとか。
田中先生の目の前でシャドーを行う佐々木選手。競技中の噛みしめ方やロの動きを観察し、マウスピースに求められる性能を追求しているのです。


取材に協力してくれたおふたりの応援をよろしくお願いします!
第3代ZSTフライ級王者の総合格闘技伊藤盛一郎選手(写真左)と第4代Krush63kg王者のキックボクサー佐々木大蔵選手(同右)。実は采女華も編集高野も格闘技観戦好き(笑)お話できて嬉しかったです!

伊藤盛一郎選手と佐々木大蔵選手

たなか歯科診療室


2018 Booyah Vol.3より