小学5年生のころに、お父さんが6歳年下の弟にカートをやらせるためにレンタルカートに行ったのが始まりです。私もやったら楽しくて、いつのまにか私が主役になっちゃいました(笑)。お父さんはクルマもレースも好きで、子どもにやらせたかったみたいです。3〜4年は生駒の小さいカートレースに出ていて、中学2年生くらいから全国規模のレースに出るようになりました。そのころはあまり良い戦績はなかったですが、高校生から始めたミッションカートではシリーズチャンピオンになることができました。
お父さんがスーパーGT(※国内最高峰のツーリングカーレース)をよく観ていて、私もいつか乗りたいなって。GTのマシンってかっこいいしお客さんもたくさんいて、その舞台に立ってみたいなと。ステップアップのために、道上さんのお父さんが経営されているカートショップからお話をもらってスーパーFJに参戦しました。
「璃央ちゃんのことは話にはよく聞いていましたよ。速いって。それで見てみたらほんとに速くて。正直、最初はレーシングカーは難しいんじゃないかって思ってたけど、最初から真ん中ぐらいは走るんですよ。そんなうちにオートポリスでも富士でも優勝して。璃央ちゃんって、ぽわーんて、おっとりしているでしょ? だから最初はこのマシンをホンマに走らせられるんやろか、大丈夫やろかって思ったけど、走らせたらそれなりにちゃんと走るんです」(道上さん)
レース前とかは何考えているのかわからんってよく言われますが、ちゃんと考えてますよ(笑)。ヘルメット被ったらスイッチが入りますね。コース上でも、こいつ邪魔やなぁとか(笑)。スタートのときは緊張しているけど、シグナルがつきはじめたときは、もうやるしかないって。怖さは無いわけじゃないです、でもマシンは速ければ速いほど楽しいし、勝ちたいって気持ちが強いです。
「Drago CORSEは、今年はスーパーフォーミュラでも女性ドライバーのタチアナ・カルデロンと組んでいます。モータースポーツでの女性の活躍が拡がっている中で今年は偶然にもふたりの女性ドライバーになった。女の子だからダメとか、こんなもんでいいんじゃない? なんて気持ちは全く無くて、ふたりとも十分に勝てるドライバーです」(道上さん)
高校受験のときにいちどレースを休んでいたのですけど、サーキットに行ってみるとやっぱり乗りたいって。勝ったときの嬉しい気持ちは忘れられません。モータースポーツは男女関係無く競えるから、負けたら当然、悔しい。女の子なのにすごいとか言われたくないし、自分でも思いたくないですね。今までに女性でスーパーGTに乗った人がいないなら、自分がそのひとりめになりたい。じつは大学は留年してしまって(笑)、もう不可抗力です。今年はレースにかけます。
変えたくないことですか? そうですね……体型かな(笑)。だって、レーシングスーツを着ているときにカッコイイほうがいいじゃないですか。
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