TAKUMI.匠 / アライヘルメット工場見学 #1はこちら

「こだわりと歴史と人の手で作られたヘルメット。決して高価ではないと実感しました」

1902年に東京の京橋で"アライ帽子店"としてスタートしたのが始まりで、もともとは保安帽を作っていたそう。現在大宮に置かれている本社での2輪用ヘルメットの製造は、全体の2割ほど。

主に新製品開発などがここでは行なわれています。全体の1割ほどを占める4輪のレース専用ヘルメットなども、本社で製造されているそうです。

敷地内で、ひときわ天井の高い建物がありました。ここでは、衝撃吸収試験や貫通試験などが行われていて、実際に、規格の高さと速度でヘルメットを落下させ、人頭模型を用いてノーヘルの時に受ける衝撃と、ヘルメット装着時の衝撃を比較していただいたのですが、早速私が衝撃でした。

ヘルメットなしで受けた衝撃は384G。参考として【300G→脳震盪や意識を失う】【350G→命に関わる】【400G→死亡する確率が高い】。ヘルメット装着時に受けた衝撃は169Gと半分ほど。この段階でアライヘルメットの性能にトリハダが。各国に様々な種類の規格があるそうですが、アライヘルメット独自の厳しい規格が定められているそうで、スネル規格だと試験エリア内どこに落ちても2回落としても、275G以下でないと規格外。一切の妥協もありませんでした。

衝撃を逃がすこの丸さがキモ

「たくさんの人のおもいが詰まったヘルメット。大切にしてほしい」

アライヘルメットの帽体には、ガラス繊維を主体とした有機系繊維といった様々な特殊素材が使われています。

チクチクの繊維が帽体になるんですね

人の手で帽体は形成され、人の手でチェックをする。何度も何度も時間と手間をかけ、匠たちの業がいくつも合わさってようやくひとつのヘルメットが完成するのです。

じつはそのひとつひとつの帽体に職人さんの名前が刻まれているのは知っていましたか? 熟練された人にしかこの仕事はできないそうです。自分のヘルメットはだれさんの名前が刻まれているのか気になります!(笑)

てっきり機械が行っていると思っていた"塗装"もじつは女性の方々が、丁寧に丁寧に貼っていました。

本当にたくさんの工程がありましたが、各工程にはそれぞれのプロフェッショナルがいました。そして、たくさんの"おもい"が吹き込まれていました。

普段使っているヘルメットにまさかこれだけ多くの人の手が合わさっているだなんて想像もつかないと思うけれど、これからは、人のおもいや自分の命を守ってくれるものだということをほんの少しでも意識して、大切にしてもらえたら私も嬉しいです。永く、バイクに乗り続けられるように、レースを続けられるように。

「たくさんの人のおもいが詰まったヘルメット大切にしてほしい」

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2017 Booyah Vol.2より